事業管理者あいさつ
新中期経営計画について
2022年7月に市立芦屋病院は開院70周年を迎えましたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)蔓延のため、ご多分にもれず記念式典や記念行事を大々的に行うことができませんでした。しかし当院の使命である「市民の健康と生命を守る」ことに関しては、発熱外来やコロナ専用病棟を維持運用しつつ、感染管理に最大の注意を払いクラスター回避を図って、パンデミック第7波、第8波を乗り越えて責務を遂行してきました。
COVID-19の感染症法上の位置づけについて、政府は現在の「2類」相当を今春「5類」に移行する方向です。「5類」に見直されるとインフルエンザなみの扱いとなり、3年以上続いたコロナ禍に対する社会生活が大きく変わることになります。具体的な対応策は本稿執筆時点でまだ明らかになっていませんが、ゼロコロナ政策を180度転換した結果、感染爆発・死者急増をきたした中国の二の舞とならないよう願っております。
総務省から「持続可能な地域医療供給体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」が発出されたことにともない、当院では令和4年度に策定した「新中期経営計画」をガイドラインにしたがって改訂し、新たに「市立芦屋病院経営強化プラン」を作成し、その期間を令和4年度〜令和9年度の6年間としました。本プランは基本的には「新中期経営計画」を踏襲して、当院の基礎となるがん診療、救急医療、生活習慣病などの診療機能の充実を目指すとともに、引き続き良質の医療を提供できるよう優れた医療従事者の確保と育成、地域医療機関との連携の強化に努めてまいります。 医療需要を増加させる後期高齢者数が芦屋市において今後も増加傾向にあることから、認知症合併症患者への対応やリハビリテーションの拡充など超高齢社会に向けて取り組みます。また新型コロナ感染症の経験を生かして、地域の感染症対策を担う基幹的医療機関として、新興感染症拡大時等に備えて平時から取り組んでまいります。
医療分野の情報通信技術(ICT)化については、既に令和3年度にWi-Fiを導入し、「無線LANのセキュリティに関するガイドライン」に沿って、オンライン診療や地域医療施設・福祉施設等とのカンファレンスを開催するなど安全な情報共有に努めています。マイナンバーカードを利用した医療情報の確認や電子処方箋の運用も既に開始しており、今後は予想される人工知能(AI)による画像診断支援などにも積極的な整備を考えています。
医師や看護師をはじめとする優れた医療人材の確保と働き方改革は表裏一体を為します。令和6年から適用になる医師の時間外労働の上限規制については、労働時間の短縮に向けた効果的な取り組みやタスクシフティング・タスクシェアリングを活用します。看護師についても看護補助者の採用等を行うとともに、すべての医療職についてスキルアップの支援などで離職防止に努めます。
経営改善については、上記の「経営強化プラン」の着実な遂行により、令和7年度の経常収支比率100%達成を目指します。芦屋市の中核病院としての使命は、コロナ禍収束の有無に関わらず存続することを自覚し、市民の健康と生命を守ってまいります。
2023年4月