広報誌HOPE Plus

事業管理者のつぶやき

Chapter21. 整理整頓

市立芦屋病院 事業管理者 佐治 文隆

三月の声を聞くと、私たちは年度末を控えて、何となく気ぜわしい気分になります。多くの公的病院とくに自治体病院では、母体行政機関の会計年度に合わせて、学校年度同様4月1日から翌年3月31日を1年間としており、芦屋病院も例外ではありません。なぜ1月から12月を1年間とする暦年と異なる年度の取り方をするのか、よく判りませんが、たとえばアメリカの会計年度は10月始まりで、学校年度は9月始まりですので、国や制度によってバラバラです。私がアメリカに留学したときに、日本で小学校1年の1学期だけをすませた息子は、9月から2年の新学期に編入させられ、英語もまったく理解できないのに、一種の飛び級の状態で、落ちこぼれ寸前になりました。年度ギャップの犠牲者とも言えます。

今年度の病院事業報告を芦屋市当局や市議会に提出する作業も3月末を〆にまとめなければなりません。病院年報にあたる「市立芦屋病院誌」平成22年度号編集のための資料収集も行わなければなりません。ここで困るのは、医学論文の取り扱いです。論文は通常、暦年毎にまとめることが多いので、会計年度との整合性が保ちにくいのが難儀です。もっと困るのは、各部署の統計などの提出です。本来、きっちり整理されているべきものですが、必ずしもそうではなく、編集者泣かせです。資料の整理整頓は、システムの問題というより、どうも担当者の性格に左右されるようです。

2010年「単行本・ビジネス」部門のベストセラー(トーハン調べ)に、「たった1分で人生が変わる片づけの習慣」(中経出版)と「新・片づけ術 断捨離」(マガジンハウス)の2冊がベストテン入りしています。これはとりもなおさず、「片づけ(整理整頓)」が苦手な人が多いことをうかがわせます。かく言う私もその一人で、自分では割合整理が出来る方と自負しているのですが、実際には毎日のように流れ込む資料の類に整理が追つかず(出来ない?)、机の上の山が高くなっていきます。前述の冊子の著者は、前者が小松 易、後者がやました ひでこで、それぞれ日本初の「片づけ士」、世界唯一の「クラター(ガラクタ)・コンサルタント」を名乗っています。いずれにしろ「片づけ」が職業として成り立つのは、ニーズがあるからでしょう。

2冊の「片づけ」指南書に共通して言えることは、目次のタイトルを斜め読みしただけで、その言わんとする骨子がほぼ判ることです。そしてポイントは、「いつか使える」「もったいない」モノは思いきって捨てること、片づけた後の空間に余裕を持たせ、以後は入れ替えによる総量規制を行うことのようです。両書が共通して述べる片づけの効用は、物理的な整理整頓は精神的にもゆとりの変化を及ぼし、ひいては人生が幸せになると説いています。

進行中の市立芦屋病院の更新築も佳境に入ってきました。放射線科、医局、厨房などは、改築新装された建物に移転しました。病院新築は整理整頓して、リセットする良い機会です。職員が精神的に幸せになれば、患者やその家族の皆さんに幸福が波及するに違いありません。

(2011.3.1)